
※これは何気ない言動がストーカー扱いされるという注意喚起です。
SNSで知り合った女の子と、ようやく会えることになった。
何度かやり取りして、感覚も合うし、会話も弾んでいた。
待ち合わせのカフェで、お互い少し緊張しながらも、
コーヒーを頼んで、軽い世間話を始める。
彼女は、ちょっと笑いながら「普段は仕事でバタバタしてて」と言った。
「仕事、何してるの?」
「事務系の仕事です」
「へえ、どの辺の会社?」
その瞬間、彼女の表情が変わった。
ほんのわずか、だけど確かに──目の奥の温度が下がった。
「あ、えーと……都内です」
答え方が急にふわっとした。
こっちはただ会話のつもりだったのに、彼女は少しだけ身構えた。
次に、「どこに住んでるの?」と聞いたとき、彼女は明確に口を閉ざした。
「え、それって…何で聞くんですか?」
少しだけトゲのある声だった。
「いや、別にそんな深い意味はなくて……」と答えたけれど、すでに会話のトーンは変わっていた。
後になって気づいた。
住んでる場所、勤務先、学校名──
これは、昔なら会話の流れで当たり前に聞いていたことだった。
でも、今は違う。
個人情報に敏感な時代。
ネットを使えば、住所やルート、最寄駅まで簡単に割り出せる。
「何気なく聞いてきた」では済まない。
「何のために知ろうとしているのか」と、相手は本能的に警戒する。
たとえ、まったく悪意がなくても。
親しくなりたい。
もっと相手を知りたい。
その気持ちは嘘じゃない。
でも、その“知りたい”が、相手の“逃げたい”に変わる瞬間がある。
大事なのは、「言葉そのもの」ではない。
相手がそれを“どう受け取るか”だ。
善意でも、無意識でも、気軽でも。
その一言が、あなたを「ストーカー予備軍」と見なす境界線を越えることがある。
信頼される前に、詮索しすぎないこと──それが、今の時代のマナーだ。