【恐怖の病気⑧】パニック障害──突然、理由もなく“死の恐怖”に襲われる病

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パニック障害とは、突然激しい不安や動悸、息切れなどの発作に襲われる精神疾患です。

何の前触れもなく発症することが多く、「心臓が止まりそう」「息ができない」「このまま死ぬのでは」といった、強烈な恐怖感に包まれる発作が特徴です。

発作は数分~数十分でおさまりますが、その衝撃は本人にとって非常に大きく、「また起こるかもしれない」という不安(予期不安)によって、日常生活にも大きな支障が出るようになります。

なぜパニック障害は怖いのか?

① いきなり“死の恐怖”が襲ってくる

パニック障害の発作は、状況や原因に関係なく突然起こるのが特徴です。

電車の中、会社の会議中、運転中、買い物中など──

周囲には何も問題がないのに、心臓がバクバクと脈打ち、呼吸が乱れ、手足が震え、意識が遠のき、「このまま死んでしまう」と感じるような恐怖が襲います。

ですが、病院で検査しても「異常なし」と言われることが多く、本人は原因不明のまま、再発の恐怖におびえることになります。

② 日常生活が制限されていく

  • 電車やバスに乗れない
  • エレベーターや映画館など、逃げ場のない場所が怖い
  • 一人での外出が困難になる
  • 仕事中にまた発作が起きるのではと不安になる
  • 寝るときにも発作の不安に襲われる

このように、発作自体よりも「また起こるかも」という予期不安による行動制限が大きな問題になります。

症状が悪化すると、外出できない・仕事が続けられない・引きこもりになるといった事態に陥ることもあります。

③ 周囲からの理解が得られにくい

検査をしても身体に異常は見つからないため、「気のせいじゃない?」「甘えてるんじゃない?」といった誤解や偏見に苦しむ人も多くいます。

その結果、誰にも相談できず、一人で悩み続けて症状を悪化させてしまうケースもあります。

30代男性が抱えるパニック障害のリスク

30代は、仕事・家庭・将来の不安が一気に重なる年代です。

  • 責任の重い仕事
  • 上司と部下の板挟み
  • 昇進や転職のプレッシャー
  • 妻・子どもを守る責任感
  • 自分の時間が持てないストレス

これらが積み重なり、「常に緊張している」「不安が抜けない」という状態が続くと、自律神経が乱れ、ある日突然、パニック発作が引き起こされるのです。

パニック障害を予防・改善するには?

睡眠・栄養・ストレスの管理

パニック障害は、自律神経の乱れと深く関係しています。

不規則な生活、睡眠不足、過度なカフェインやアルコール摂取、慢性的な疲労は、リスクを高める要因です。

まずは基本の生活習慣を整えることが大切です。

「大丈夫だった」という体験を積み重ねる

発作が怖くて外出できないときは、いきなり克服しようとせず、「無理なく少しずつ行動範囲を広げる」ことがポイントです。

  • コンビニまで出かける
  • 一駅だけ電車に乗ってみる
  • 人混みを避けて散歩してみる

こうした「成功体験の積み重ね」が、予期不安を減らし、回復につながっていきます。

抱え込まない。医師に相談を。

パニック障害はれっきとした脳の病気です。

カウンセリングや薬物療法によって、コントロールできる症状であり、決して「一生治らないもの」ではありません。

  • 心療内科
  • 精神科
  • メンタルクリニック

これらの医療機関では、パニック障害の専門的な治療を受けられます。

薬物療法でコントロールできる

治療では、主に次のような薬が用いられます。

  • 抗不安薬:発作を即座に鎮める
  • 抗うつ薬(SSRIなど):予期不安を減らす
  • 漢方薬:自律神経のバランスを整える

個人差はありますが、医師と相談しながら適切に服用すれば、普通の生活を取り戻すことが十分可能です。

まとめ:突然起こる“恐怖”に、正しい理解と対処を

パニック障害は、「心が弱いからなるもの」ではありません。

30代の真面目な男性ほど、自分を責め、無理を重ね、発症に気づかず症状を悪化させることがあります。

ですが、正しく知り、適切に休み、必要な治療を受ければ、必ず回復できます。

「逃げる」は「負け」ではなく、「守るための戦略」です。

あなたの人生を守るために、まずは心の声に耳を傾けてください。