
あなたは「日本人が最もかかっているがん」が何かご存じでしょうか?
答えは、「大腸がん」です。
2020年の国立がん研究センターのデータによれば、がんの部位別罹患数(かかった人数)で男女合計の第1位が大腸がんです。
また、死亡原因でも男女ともに上位に位置しており、日本人にとってもっとも身近でありながら、もっとも“気づきにくい”がんの一つでもあります。
大腸がんは早期発見できれば9割以上が治癒可能です。
しかし、発見が遅れると命を脅かす存在にもなります。
この記事では、大腸がんの恐ろしさ、その原因、予防方法、そして30代男性が今から始めるべき対策について詳しく解説していきます。
大腸がんとは?
大腸がんとは、結腸や直腸の粘膜から発生する悪性腫瘍のことを指します。
初期にはほとんど症状がなく、進行してからようやく異変に気づくケースが非常に多いのが特徴です。
大腸がんは、以下のように分類されます。
- 結腸がん(上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸など)
- 直腸がん(肛門に近い部位)
それぞれで症状の現れ方や転移しやすい場所が異なるものの、共通して“早期は無症状”という点が厄介です。
大腸がんの初期症状と進行のサイン
以下は大腸がんによって見られる代表的な症状です。
◆ 早期には…
- 無症状(最も多い)
- 便秘や軽い下痢が増える
- 腹部の違和感やガスの溜まりやすさ
◆ 進行してくると…
- 血便(鮮血または黒っぽい血)
- 下痢と便秘の繰り返し
- 腹痛、貧血、体重減少
- 排便後の残便感
- 腸閉塞(便が詰まり通らなくなる状態)
特に「血便」があった場合はすぐに病院を受診すべき重要なサインです。
しかし、痔と誤解して放置するケースも多く、発見の遅れにつながっています。
なぜ大腸がんは怖いのか?
① 初期は無症状で進行する
症状がないまま進行するため、発見が遅れやすく、気づいたときにはステージが進んでいることもあります。
② 転移・再発リスクが高い
肝臓や肺への転移が多く、手術後も定期的な検査が欠かせません。
また、一度治っても再発するケースもあります。
③ 毎日の生活習慣が大きく影響する
食生活や運動不足、肥満、飲酒、喫煙など、日々の生活がリスクを左右するため、油断が命取りになります。
④ 人工肛門(ストーマ)になる可能性
進行がんや直腸がんの場合、がんを取り除くために人工肛門(ストーマ)の手術が必要になるケースもあります。
ストーマとは、腹部に便の出口を作り、専用の袋で排泄物を受ける仕組みです。
この処置自体は命を救うために必要な医療行為ですが、
- 排泄コントロールの喪失
- 日常生活での不安や不便
- 周囲の視線やニオイの悩み
- 温泉・プールなどの制限
など、身体的にも精神的にも大きな負担がかかります。
大腸がんの原因・リスク要因
以下のような要因が、大腸がんのリスクを高めるとされています。
食生活の乱れ
- 脂質の多い食事(肉類・加工食品)
- 食物繊維の不足(野菜・海藻・豆類の摂取不足)
- 過剰なアルコール摂取
運動不足・肥満
- 腸のぜん動運動が低下し、便通が悪くなることで、がんのリスクが上がります。
喫煙
- たばこに含まれる有害物質が大腸の粘膜にも悪影響を及ぼします。
家族歴・遺伝
- 両親・兄弟に大腸がん経験者がいる場合、リスクが高まります。
予防と早期発見のために30代から始めること
① 年に一度の便潜血検査を習慣に
大腸がんは、便にわずかな血が混じることで発見できることがあります。
健康診断に含まれている便潜血検査(2日法)は、簡単ながら早期発見の鍵です。
② バランスの取れた食生活を意識する
食物繊維(野菜、果物、豆類、玄米など)をしっかり摂ることで、大腸がんのリスクを減らせます。
加工肉(ハム、ベーコン、ソーセージ)や揚げ物、スナック菓子の過剰摂取には要注意です。
③ 定期的な運動を取り入れる
1日30分程度のウォーキングや筋トレなど、腸の活動を促す生活習慣を意識しましょう。
④ アルコール・たばこを控える
毎日の飲酒は大腸がんリスクを確実に高めます。
特に「毎日晩酌」「缶ビール2本以上」などは見直しをおすすめします。
まとめ:30代から始める“大腸がん回避戦略”
大腸がんは、「怖いけれど防げる病気」です。
早期に発見できれば、生存率は90%以上とも言われています。
しかし、放置すれば命を落としかねない“静かな時限爆弾”でもあります。
だからこそ、30代という「まだ若くて健康な今」こそ、対策を始めるべきタイミングなのです。
- 食生活の見直し
- 定期的な便潜血検査
- 適度な運動
- アルコール・喫煙のコントロール
未来の自分の命を守るのは、今のあなたの選択です。