【恐怖の病気⑥】肝臓がん──“沈黙の臓器”が突然牙をむくとき

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肝臓がんは、その名の通り肝臓にできる悪性腫瘍です。

日本では、がんによる死亡原因の上位に位置する疾患のひとつであり、特に40代以降の男性に多く見られます。

恐ろしいのはその“静かさ”です。

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど、ダメージを受けても症状が出にくいため、発見が遅れることが多いのです。

なぜ肝臓がんは怖いのか?

① 自覚症状が出にくいまま進行

肝臓は、多少の障害を受けても沈黙を保ちます。

そのため、がんがかなり進行してからようやく症状が現れるケースが多いです。

代表的な症状は次の通りです:

  • 倦怠感(疲れやすさ)
  • 食欲不振
  • 体重減少
  • 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)

しかし、これらはいずれも「忙しいだけ」「年齢のせいかも」と見過ごされがちな症状です。

② 背後にある慢性肝炎や肝硬変

肝臓がんの多くは、慢性肝炎や肝硬変から発生します。

特に、C型肝炎ウイルス(HCV)やB型肝炎ウイルス(HBV)による感染歴がある方は、知らないうちにリスクが高まっている可能性があります。

肝炎ウイルスの感染は、輸血・性行為・母子感染などでも起こり得ます。

自覚がなくても、過去のリスク行動があれば検査を受けるべきです。

③ 発見が遅れると治療の選択肢が狭まる

肝臓がんの治療には、以下の方法があります:

  • 外科手術による腫瘍の切除
  • 肝臓移植(条件を満たす必要あり)
  • 抗がん剤・放射線治療
  • カテーテルによる塞栓術(TACE)

しかし、がんが進行しすぎると手術や移植の対象外となることが多く、根治は難しくなります。

「働き盛りの男性」に多い理由

肝臓がんは、40代・50代の男性に多いがんとしても知られています。

その背景には以下のような要素があります:

  • 長年の飲酒習慣(アルコール性肝炎→肝硬変)
  • 肝炎ウイルスの放置
  • 不規則な生活・過労による免疫低下
  • 健診を受けない(時間がない、健康だと思っている)

つまり、「健康には自信がある」と思っている人ほど危険なのです。

肝臓がんを予防するには?

肝炎ウイルスの検査を受ける

まず最初にやるべきことは、B型・C型肝炎ウイルスの感染有無の検査です。

日本では40歳以上であれば無料で受けられる自治体もあります。

感染していた場合は、適切な治療によって発症リスクを抑えることが可能です。

特にC型肝炎は、現在ではほぼ完治可能な時代になっています。

アルコールは「適量」を超えない

大量飲酒は、脂肪肝→アルコール性肝炎→肝硬変→肝がんという流れをたどることがあります。

適量とは、1日あたり純アルコールで約20g(ビール500ml程度)までとされています。

毎晩の飲酒が習慣化している方は、「休肝日」をつくることが重要です。

定期的な肝臓の超音波検査・血液検査

肝機能を確認する血液検査(AST, ALT, γ-GTPなど)や、肝臓の画像検査(エコー・CT)は、早期発見に有効です。

特に以下に当てはまる方は、年1回以上の検査を推奨します:

  • 飲酒習慣がある
  • ウイルス性肝炎の感染歴がある
  • 肥満体型で脂肪肝を指摘されたことがある

家族のためにも、肝臓を守るという選択を

肝臓がんは、自覚症状が出るころにはすでに手遅れ──という怖さを持った病気です。

「沈黙しているから健康」ではなく、「沈黙しているからこそ注意」すべき臓器なのです。

働き盛りで、家族を支えている30代・40代の男性にとって、健康を失うことはすなわち、すべてを失うことになりかねません。

まとめ:静かな臓器には、静かに向き合う習慣を

肝臓がんは、静かに進み、静かに命を奪っていくがんです。

しかし現代では、知っていれば防げる・治せる病気でもあります。

  • 検査を受ける
  • 飲酒習慣を見直す
  • 健診をサボらない
  • 健康を「当たり前」と思わない

これらの小さな積み重ねが、あなたとあなたの家族の未来を守ります。