
※これは物語です。
「1億円、あったら人生勝ち組でしょ?」
──そう思っていた。
30代の頃は、資産を積み上げることが人生の目的になっていた。
節約、投資、副業、インデックス投資……努力はすべて“1億円”のためだった。
でも今、口座に1億円はある。
けれど、毎朝コーヒーを飲むたびに思う。
「俺、なんのためにここまでやってきたんだろう」
これは、資産形成を突き詰めた末に“虚無”に出会った男の物語です。
目的のない資産形成は、ゴールを見失う
若い頃、資産があれば人生は豊かになると思っていた。
だから必死に節約して、使うより貯めることに喜びを感じていた。
- 飲み会は断る
- 趣味はコスパ重視
- 恋愛は「金が減るから」と避けた
- 健康も二の次、ジムすら「もったいない」と思っていた
気がつけば40代後半。
資産はついに1億円を超えた。
でも、嬉しいと思ったのは最初の3日だけだった。
「じゃあ、お前は何にその金を使うんだ?」
銀行の残高は増えた。
証券口座のグラフは右肩上がり。
なのに、人生が楽しくない。
- 一緒に喜んでくれる人もいない
- 健康診断はC判定
- 毎日やることもない
- 土日は家に引きこもって、YouTubeとSNS
「このお金、誰と、何に使えばいいんだ……?」
お金はある。でも人生のコンテンツがない。
まるで、家具も照明もない1LDKに住んでるような、そんな気分だった。
孤独を避けるために、お金を追いかけたはずが
思えば、資産形成を始めた最初のきっかけは「不安」だった。
会社に依存したくない、老後が心配、人生に保険をかけたかった。
でも、それは裏返せば「孤独が怖かった」ということ。
- お金があれば、人に頼らなくて済む
- 結婚できなくても、自立していればOK
- 誰にも迷惑をかけず、静かに暮らせればいい
そう思っていた。
でも実際に1億円を手にしたとき、ようやく気づいた。
「誰にも迷惑をかけない人生って、誰にも関われない人生なんだ」
お金は「使ってこそ意味がある」ことを、ようやく理解した
今、やっとわかる。
資産は目的じゃない。「手段」だ。
- 健康のために使う
- 大切な人との時間に使う
- 自分の可能性や経験に使う
そういう「意味のある消費」を避け続けた結果、
気づけば何もない“空白の人生”になってしまっていた。
残高が増えても、空っぽな部屋にひとりで座っていたら意味がない。
まとめ:資産は、人生を彩る“燃料”だ
資産形成は悪くない。むしろ正解だったと思う。
でも、それをどう使うか、活かすかを考えるのを怠っていた。
「お金で買えないものがある」なんて、きれいごとだと思っていた。
でもそれは、実際に“持ってから”気づくことなんだ。
あなたがもし、資産形成をがんばっている最中なら、
そのゴールに「誰と生きるか」「どう使うか」も、ぜひ加えてほしい。
1億円は、人生を楽しくする道具。
それを使ってこそ、本当に意味のある資産になる。