
投資の世界では、「リスクを減らすためにドルコスト平均法で買いましょう」というアドバイスが定番です。
確かに、相場の上下を気にせず一定額を積み立てる方法は、初心者にも続けやすく、心理的負担も軽くなります。
しかし──もしあなたがすでにまとまった資金を持っていて、かつS&P500や全米株式の長期右肩上がりを信じているのなら、
ドルコスト平均法にこだわるのは、むしろ機会損失かもしれません。
長期右肩上がりを信じるなら「先に乗る」ほうが合理的
株式市場が長期的に右肩上がりになると信じるなら、早く資金を市場に投入するほどリターンの期待値は高くなります。
なぜなら、上昇する期間に投資している時間そのものがリターンを生み出すからです。
- 一括投資 → 全額がすぐに市場で成長を享受
- ドルコスト → 資金の一部はしばらく現金で寝かせたまま
この差は、数年後・数十年後に大きな差となって現れます。
現金のままではインフレに負け、株式の成長にも乗れない期間が発生してしまいます。
データが語る「一括投資優位」
過去の米国株データを検証した結果は明確です。
米国の投資調査会社ヴァンガードの分析によると、米国市場において一括投資は約68%のケースでドルコスト平均法を上回るリターンを記録しています。
さらに、1970年以降のS&P500で検証した場合、
- 一括投資をした場合の平均年率リターン:およそ10.4%
- 12か月に分割してドルコスト平均法で投資した場合:およそ8.9%
と、年率で1.5%以上の差が出ます。
これを30年間運用すると、最終的な資産額の差は約1.5倍にまで広がります。
つまり、「少しずつ安全に」という発想は、長期では「確実に儲けを減らす」ことに直結します。
ドルコスト平均法は「価格変動が怖い人」の戦略
ドルコスト平均法は、タイミングを誤って高値掴みするリスクを減らすための戦略です。
特に、株価が上下動の激しい短期的な局面では有効です。
しかし、もしあなたが「長期的には右肩上がりになる」と信じているなら、この戦略は必要ありません。
むしろ、一括投資を避ける理由は「今すぐ下がるかもしれない」という不安でしかないのです。
結論:信じるなら一括。迷うなら現金でなく学びに使え
もしあなたが本気で市場の長期成長を信じているなら、
「一括投資+長期保有」がもっとも合理的な戦略です。
ドルコスト平均法は、安全に見えて、成長を先延ばしにする「時間的コスト」を払っています。
そして、その時間は取り戻せません。
右肩上がりを信じるなら、待つ理由はありません。
信じていないなら、そもそも投資をすべきではないのです。